びわ姉さん
言わずと知れた琵琶引きの姉さん。
歴史はちょっと苦手。
以下(び)
れいちぇる
びわ姉さんの愛娘(ブルテリア)
三度の飯よりご飯好き。
以下(レ)
び「そんなわけで、私が琵琶について説明します。生徒はレイチェル。じゃレイ、あいさつして。」
レ「はい、ただいまご紹介にあずかりましたレイチェルでぇす、名前の由来はあの、伝説の映画の・・・・。」
び「はいはい、もうそれぐらいにして、本題にいくからね。」
レ「えー、これからいいところなのにぃ・・・。」
び「それじゃ、まずは私の嫌いな歴史から。」
レ「・・・って、ねえさん歴史嫌いなくせに、人に説明するの?なんか、だいじょうぶかなぁ・・。」
び「なんかいった!」
レ「・・・いえ、聞きまーす。(おこらすとあと怖いし・・・。)」
<びわ姉さんからのお願い>:
このページの内容は、わたしが見聞きした内容をまとめたものですので、
諸説・異論もたくさんあります。、
間違っていることもあるかもしれませんので、そのへんはご了承くださいませ。
び「琵琶の起源はペルシャだといわれてるの。地図だとここらへん。 ペルシャ猫のペルシャね。いまのイランやイラクのあたり。」
レ「へー。いつごろなんのかな。アケメネス朝のダレイオス1世のころ、それともアレクサンダー大王が攻めてきた後のことかな。」
び「誰それ?」
レ「えっと・・・いいです、先にすすめてください。」
び「もともとは<バルバット>って楽器みたい。見たことないけど。同じ起源を持つ楽器にはアラブの<ウード>、ヨーロッパの<リュート>、中国の<ピパ>なんかがあるの。」
レ「<バルバット>ってガチョウって意味らしいよ。鳥に似てるからかな。」
び「よく知ってるね。」
レ「ぐーぐるでしらべた。」
び「(犬なのに・・)。」
レ「わたし、一応、イギリス犬だからしってるよ、リュートっていえば、吟遊詩人がもってるやつだよね。あれも英雄の歌とかを弾き語りで歌ったりするから琵琶と近いものがあるよね。おもしろいね。これは進化論でいうところ類型的・・・・・・。」
び「と、とにかく、日本にはシルクロードを経由して7、8世紀ごろに伝えられたの。」
レ「シルクロードといえばマルコポーロよね。」
び「マルコポーロってなに、ああ、あのお子チャマが食べる、ちっちゃくて丸くて甘いお菓子でしょ。あれ私好きだよ。」
レ「そうそう、あの口で解ける微妙な甘さが・・・って、それはタマゴボーロでしょ。と、ところで7、8世紀っていえば日本は奈良時代かな。」
び「そう、だから正倉院に日本最古の琵琶があったりするの。(写真)」
レ「へーきれいね。ところで正倉院をつくった人って知ってるぅ。」
び「聖武天皇でしょ。奈良の大仏をつくったエライおっさん。」
レ「(おっさんて・・・・。)・・ところで、なんで琵琶って、琵琶っていうのかな。」
び「とっても基本的な質問ね。日本に直接琵琶を伝えた中国では琵琶のことを琵琶と書いて<ピパ>って呼んでるの。かわいいでしょ。」
レ「(・・かわいいかな?)で、それで、どうゆう意味なの?」
び「琵琶のもともとの漢字は批把で批が<手を押して進む>の意味、把が<手を引いて退く>の意味。つまり引き方から名前が付いたわけね。中国人も結構単純。」
レ「それじゃ日本でいうと、押引あるいは進退なのかな。英語で言うとHIT&AWAYなんてどう。」
び「(どうっていわれても・・・)とにかく、そのピパの漢字が琵琶なんで”びわ”になったわけ。」
レ「漢字が馬鹿でなくてよかったね。」
び「さむ~・・・・。」
レ「ぶー・・・・・・。えっと・・・。日本に伝わった琵琶はどうなったの、そのあと。」
び「んーとねえ。最も古いのが楽琵琶と盲僧琵琶。日本の琵琶のルーツは大きくこの2つに分けられるの。楽琵琶は雅楽とともに伝えられた琵琶で管弦合奏の一員としていまでも演奏されているやつね。正倉院にあるのはこれの最古のやつ。」
レ「フムフム。」
び「もうひとつの盲僧琵琶はその名前のとおり盲僧(目の見えないお坊さん)が弾いてたものなんだけど、詳しいことは分かってないの。ただ9世紀頃までには九州のあたりに伝わって、宗教儀式で法具として使われていたらしいの。」
レ「法具ってどうやって使ってたのかな。」
び「お経を琵琶の伴奏付きでやってたりして。ナムアミダブツ~ベンベン!とか。」
レ「(それはないような・・)・・九州ってことは、姉さんがやってる薩摩琵琶はそれが祖先なのかなあ。」
び「そう、この九州の盲僧琵琶が薩摩盲僧琵琶と筑前盲僧琵琶に別れて、これが今の薩摩琵琶と筑前琵琶のもとになったの。」
レ「ところで琵琶といえば平家物語だよね。平家物語は平家滅亡をうたったやつだから、出来たのはやっぱり鎌倉時代なのかな。」
び「まあそんな感じ。12世紀ころ琵琶法師たちが弾き語りまくってたのを本にまとめたやつなの。」
レ「それじゃ作者っていないの?」
び「いろんな説があるけど。ほんとのとこはわかんないみたい。」
レ「姉さんが知らないだけじゃなくて・・・。」
び「失礼ね。今日、ごはん、ヌキ。」
レ「えー、そ、そんなー。そ、それで琵琶のほう、その後はどうなったんの。美しいお姉様ぁー。」
び「まあいいわ、今の琵琶は大きく分けて楽琵琶・盲僧琵琶・平家琵琶・筑前琵琶・薩摩琵琶の五つなんだけど。このうち一番古いのはさっき説明した楽琵琶。次に古いのは盲僧琵琶・平家琵琶、それでその次が薩摩琵琶。この薩摩琵琶はもともと江戸時代の薩摩藩の殿様が武士の精神修養のために採用したのがはじまりなの。それが町民に広まったのがはじまりなの」
レ「THIS IS 武士道だね。かっこいい!姉さんっぽい、男っぽい!」
び「それって誉めてない・・・。・・・んで、もうひとつの筑前琵琶は、一番新しくて完成されたのは明治の中ごろ。筑前盲僧琵琶を基にして、薩摩琵琶や三味線の要素を取り入れて作ったの。」
レ「なるほど、それで、今の琵琶になったのね。それじゃ姉さんのやってる薩摩琵琶と筑前琵琶はどう違うの?」
び「ふーう、今回はもうあきたからまた今度..。」
レ「えー、もうあきたのー。もう、姉さんはあきっぽいね。すぐあきるんだから。そんなだから..」
び「やっぱり、ごはん、ヌキ。絶対、ヌキ」
レ「えー、ひっどーいー・・・・。」
第一回おしまい。
楽琵琶
平家琵琶
筑前琵琶
そして私の薩摩琵琶
び「んで、第2回は楽器についてです。」
レ「琵琶っていっても、本物見たことある人って少ないよね。」
び「ふつう楽器屋さんとかにはないしね。あたしのはこんなの。名前は<凌雲(りょううん)>」
レ「大きさは私のおもちゃ比で。」
び「わかるか!!。だいたい、おもちゃ渡すと、いつも30分でボロボロじゃん。このクマだって手足噛み切っちゃったでしょ。大体長さ93cm、幅は33cmくらいかな。」
レ「ぶぅー・・・、それはそれとして、横から見ると薄いよね。」
び「まえに小学校で引いたときに、子供が薄い薄いってビックリしてた。子供って目の付け所が変よね。」
レ「(返答にこまる・・・)、そ、それでなかはどうなってるの。」
び「 琵琶の本体は、表<腹板>と裏<胴>を張り合わせてあり、中は空洞になっているの。 んで、その空洞のほぼ中央部分に腹板の響きを胴に伝えるための<根柱>があるの。」
レ「根性(こんじょう)?」
び「根柱(こんちゅう)よ。それで左右の<半月(はんげつ)>と<覆手(ふくじゅ)>に隠れた部分<隠月>には、それぞれ響孔があるの。」
レ「ええっと、隠月は見えにくいけど、半月は三日月みたいなやつね。’びわびわ’の目じゃなかったんだ。中を覗くと、小さなおばあさんが・・いっぱい・・・・。」
び「そう、玉ねぎ頭のおばあさんが・・・。いるか!!。もう・・・。あと、<覆手>の裏にその振動を腹板に伝える小さな柱<銀杏柱(いちょうばしら)>がついてるの。」
レ「銀杏柱って、まさか銀杏(ぎんなん)で出来てるわけじゃないよね。琵琶ってナンデできてるのかな。」
び「それはね、犬の骨をすりつぶして・・・。」
レ「きゃー・・・。」
び「なわけなくて、一番いいやつの素材は、桑の木なの。<糸口(いとくち)>、<半月>、<猪目(いのめ)>、<駒>の一部は象牙。 <腹筋(はらすじ)>は鯨のひげ。<鳥口(とりくち)>の表面にはすす竹の表皮が使われてる。<撥(ばち)>は柘植ね。<駒>のほうは完全に消耗品で、朴にイタヤカエデなどの薄い板を張り合わせて作るの。」
:白いとこが糸口、下が鳥口
:猪目(糸のついてるとこ)
:腹筋
:撥(ばち)結構でかいよ。
レ「なんだか、高そうなものばっかね。琵琶って高いわけね。」
び「そうね。いずれも今日入手困難なものばかり。貴重品、レアモノな感じね。」
レ「ブルテリアも結構レアモノよ。とくにわたしみたいなカワイイのは。」
び「はいはい。」
レ「そうだ、糸は?」
び「絃はねえ、絹糸を撚り合わせたもので、どのような太さや撚り方の絃を選ぶかは、楽器の性質や曲目によって変えるの。」
レ「その日の気分とか?」
び「気分じゃないの!これは微妙な問題で、繊細な神経と、鋭敏な感覚が・・・。」
レ「(あれ?姉さんに、そんなのあったっけ・・・・・)」
び「なにか、思ったわね。」
レ「え、思っただけなのにぃ、どうして・・・。」
び「やっぱり、かかったわね。カマかけてみただけよ。」
レ「し、しまった・・・。計ったわね!おぬしさては伊賀もの!」
び「フッフッフッ。今ごろ気づいても、おぬし、もう遅いわ。我こそは鶴田流薩摩琵琶奏者西原鶴真なるぞ。」
レ「こっちは、白犬流大口強犬礼智獲瑠だい!。」
び「なんか漢字ばっかで、ヤンキーみたい。」
レ「ええっと・・・、で、脱線はこれくらいにして、本題にもどろうよ。そういえば琵琶に関して、「鶴田流」独自のことってあるの?。」
び「(脱線したのはじぶんのくせに・・・・・)そ、そうねえ。元来、薩摩琵琶は腹板と胴がとても厚いんだけど、この腹板の裏に渡し<補強板>があってこれが、腹板にカーブを作ってるの。このカーブが響きをほどよく抑えて、芯のある音色を出す秘密なの。でも、音が小さいのよね。」
レ「ふむふむふむ。」
び「そこで鶴田流では、腹板と胴を音色が損なわない程度に薄くして、音色を大きくして、特に低音絃が響くように改良したの。」
レ「薄くねえ。薄いと良く響くのね。他には,他には。」
び「あとねえ、太い絃ほど同ポジションでの音が高くなる現象をゼット型の駒(菊水型)により解決したの。あとあと、撥を薄くすることで、絃の音と打撃音とのバランスをとって、その結果、よくしなるようになったんで、ハタキ(撥で腹板を叩く奏法)にとってもいい改良になったのよ。」
:駒
レ「ゼット型ですか。かっこいい。ゼットンとか、Zガンダムとか、マジンガーZとか・・・。」
び「ふ、古い。あんた何歳?何国人(いや何国犬?)」
レ「ギク・・。」
び「大体、犬のくせに言動がちょっと物知りぶって生意気。ご飯食べると、すぐガルガル言うし、・・・。」
レ「ギクギクギク・・・。まあ、そんな、人生細かい事にこだわっちゃだめよ。」
び「(犬なのに・・・)」
レ「もっとおおらかに生きなゃね。じゃないとシワがふえちゃうよ。」
び「殺す・・・。韓国に売り飛ばす。犬鍋食ってやる・・・・・。」
レ「ひぃ~ぇ~~~・・・・・・・・。虐待だぁ~~・・・。野生動物を大切に~、グリンピースよんでやる~ぅ~・・。」
レイチェル ->
第二回おしまい。
:半月
:びわびわ
:おばあさん
:覆手。この下に陰月が。
はじめに
第一回
「こうして琵琶君は日本にやってきたのだ」の巻
第二回
「琵琶君はこんな楽器なのだ」の巻
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